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「なにあいつ、不愉快だわ。」
ミラは不快感を隠す事なく毒づいていたが、ムノは逆にじっと何かを考え込んでいた。
「ムノ、あんな奴殺し……どうしたの?」
「なぁミラ、この大会の景品である古代遺産って何だったか紹介されてたっけ?」
「ええと……名前は【栄光苔の霊晶】、翳せばたちどころに体の奥底に眠る力を呼び覚ます、って触れ込みね。」
「ふむ……」
ムノにはレオが卑怯者にはどうしても見えなかった。
男の勘、とでも言うべきか、レオからは絶対に【栄光苔の霊晶】を手に入れる、そのためならどんな汚い事でもやってのける、という硬い意思を感じたのだ。
「よし、戦おう。」
「ふふ、勝利を持って帰ってきてねムノ。」
ムノは戦う事に決めた、レオのその覚悟の理由を知るために。
「さぁぁ!遂に決勝だぁぁ!!今年は何とぉ!若き狼達の対決だぁ!!双方とも己よりも大きな益荒男達を下した戦士だぁぁ!!双方拳と意思で語り合え!!バトルぅスッタァァァァァトォ!!!」
「棄権は……してくれないようだな。」
「あぁ、そこまでして景品に拘る理由が知りたくてな。」
二人が交わした言葉はそれだけだった。
そして次の瞬間、レオが放った踵落としとムノの放ったサマーソルトキックが激突した。
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