下界狂騒曲

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「はぁあ!!」 踵落としが失敗に終わった事を理解したレオは落とした右踵を起点に跳躍、さらなる高度からムノに左踵落としを放つ。 だがムノも黙ってそれを受けるつもりはない。 サマーソルトの途中、丁度逆立ちしているような状態で地面を【掴む。】 十本の指が硬い大地に埋まり、逆立ちの体勢でムノを固定する。 そして逆立ちするムノの足の裏にレオの踵落としが激突した。 ムノはその衝撃を足首、膝、股関節、背骨、肩、肘、手首、指の第一関節、第二関節の順番で最後には地面に衝撃を逃がした。 「隙だらけだ。」 そして素早く立ち上がると、空中にいるレオに拳が霞む程の速さで正拳突きを放つ。 拳は、レオがガードするよりも速くレオの腹に届く。 が、レオはガードが失敗することを見越していたのか身体を回転させてムノの拳を流すように避ける。 だがそれもムノの計算通り。 今度こそ隙だらけのレオに左足の膝が叩き込まれた。 「がっは!?」 脇腹に膝が埋まり、悶絶するレオ。 だがムノは動くことをやめない。 息を吸うように人を殺し、息を吐くように人を殺すムノだからこそ、レオが完全に戦闘不能になるまで止まるつもりはない。 うずくまるレオの頭へ飛んで行くムノの蹴り。 だが、それは不発に終わる。 レオが前転するようにムノの懐に突っ込んできたのだ。 そしてガード不能の位置から飛んでくるアッパーカット。 「ぐがっ!!」 ムノは、首を折れる限界まで後ろに曲げ、アッパーカットの威力を減殺する。 だがそれでもなお70キロは超えるムノの身体を吹き飛ばす一撃。 「はっ!」 だがこの時点でムノは勝利を確信した。 飛ばされた体勢のまま、左足の爪先をレオの顎に引っ掛ける。 そしてそれに力を込め、逆再生のようにムノの身体が地面に降り立つ。 そして首を持ち上げられたことで隙の生まれたレオの鳩尾に拳を埋めた。 「く、そ……。」 そしてレオは無念の表情で意識を失った。
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