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その時、四つの動きが。
一つは霊晶を奪った簒奪者。
簒奪者は人混みの中を巧みに進んで姿を眩まそうとする。
二つはムノ。
左眼の【オーディーン】を上空で待機するユグドラシルに接続、上空からのサーチで簒奪者の位置をリアルタイムで補足し、動き出す。
三つはミラ。
ムノが動きやすくするために空に向かって音の大きい爆裂魔術を放つ。
そして四つ、レオ。
霊晶が奪われたことを理解した瞬間、憤怒の表情で行動開始。
そして状況は動き出す。
上空で大爆音が鳴ったことで上に注目して動きを止める民衆。
それによって常に変動していた道が固定され、そこをムノとレオが駆け抜ける。
簒奪者は、自分を追う者達に気づき逃げようとするが時すでに遅し、簒奪者の元へ到達したムノとレオが簒奪者を掴み、裏通りへと連行した。
そしてそれをミラが優雅に歩いて追いかける。
簒奪者の逃走劇は実に六秒で呆気なく終了したのだった。
「ギィィイ!ギキィィィィィイ!!」
レオが屋台から持ってきた縄で縛り上げられた簒奪者がムノ達に威嚇する。
「ムノ、これって……」
「あぁ。」
「何故こんなモノがここにいる……!?」
ミラはムノに問いかけ、レオは信じられないといった顔で簒奪者を見る。
そこにいたのは、
「こいつはゴブリン、それも野生じゃなくてダンジョン産の知能の高いゴブリンだ。」
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