8321人が本棚に入れています
本棚に追加
/181ページ
ゴブリン。
恐らく最もモンスターらしいモンスターと言っても過言ではないだろう。
緑がかった肌に子供程しかない身長。
顔は醜く、欲望のままに暴れるモンスター。
基本的に洞窟や森に生息するモンスターで、よく他種族の雌を襲うと言われるがそれは別に種族を残すための行為をするわけではなく、単純に雌の方が弱い場合が多いからだ。
だから仮に一騎当千の女傑となよなよしい男がいたらゴブリンは迷わず男を選ぶ。
というかそもそもゴブリンにも雌はいる。
そのゴブリンが単独で人里に、しかもムノの手から霊晶を盗み周りにばれないよう走り去るなどという芸当をしている時点でこのゴブリンは生み出された時点でなんらかの改良が加えられたゴブリン、ということになる。
「………動機はともあれゴブリンがこんな場所に単独でいるってことは近くにダンジョンがあるってことだ。
レオ、何か知ってるか?」
「あぁ、確かにこの国の近くの洞窟にダンジョンがある。
名前は【ヘドヌスの迷宮】で、一番奥には宝があるという噂だが……。」
「ふぅん。」
ギャリリリリリ!!
「ギギャベッ!?」
ムノはレオの話を聞きつつ、タイラントファングでゴブリンを引き千切る。
「なぁミラ。」
「えぇアナタ、私も同意見よ?」
「「不愉快だ(ね)。」」
二人の意見が一致した時点で行動は決定した。
「どうするつもりだ?」
「レオ、とりあえずお前はその霊晶を使わなくちゃならない人がいるんじゃないのか?」
「あ………っ!」
「行きなさいな、ヘドヌスの迷宮について貴方が関わる必要はないわ。」
「聞きたいことが沢山あるが……すまん、本当にありがとう。」
レオは再び深く頭を下げると、人混みの中へ消えて行った。
「最初は卑怯者かと思ったけど……案外いい奴だったのね。」
「惚れたか?」
「冗談。
私が愛するのは例え輪廻転生した果てでも貴方一人よ。」
「俺もだよ。」
二人もまた、人混みの中へ消えた。
最初のコメントを投稿しよう!