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「先陣切って戦う王様とかかっこいいじゃないか。」
「うふふふ。」
後は宣戦布告するのみ。
ここに、二人のデートに水を差したダンジョンに破滅が襲いかかる。
ヘドヌスの迷宮最下層秘宝の間、そこに中級悪魔ヘドヌスはいた。
彼自体は特筆する程強い存在でもない、ならば何故彼と彼のダンジョンは古株として生き残る事が出来たのか。
それは単純だが強力な【数】によるものだった。
ゴブリンやトロール、オークやスライム、ダンジョンにとっては雑魚同然のそれらを万単位で配置し、侵入者が疲れ果てた所を強力なモンスターで排除する。
それがヘドヌスの迷宮の恐ろしさであり、強みだった。
だが……
「な、なんなのだこれは!!?」
つい最近できたばかりのダンジョンからバーサスを挑まれたのが十分前、最初は新人の慢心と受け取り叩き潰すべく受諾したが、その五分後に彼らの恐ろしさを知る事になった。
数十万はいたはずの雑魚モンスター達は既に五千を切り、強力なモンスターも残らず細切れにされていた。
開始から二分で迷宮の入り口に四輪のゴーレムが何台も現れ、中から何体ものゴーレムと黄金のゴーレム、そして漆黒の甲冑を出したのだ。
そこからは一方的な殺戮だった。
まるで【雑魚を殺すためだけ】に造られたかのようなゴーレムが回転する刃と筒を重ねた武器で雑魚モンスターを掃討し始めたのだ。
しかも彼等は消耗という言葉を知らないのか、休まず動き続けているというのにその動きには欠片の鈍りもなかった。
しかしただヘドヌスもそれを見ていたのではない。
ヘドヌスの迷宮のオリジナルモンスター【ゴブリン騎士団】を総動員し、強力な【クラッシュオーク】も十体投入した。
だがそれは、黄金の多腕のゴーレムと漆黒の双剣使いの甲冑が一分で全てを肉片に変えたのだ。
まさに蹂躙。
全二十階層あるヘドヌスの迷宮は既に十八階層までを攻略され、ヘドヌスは十九階層に雑魚モンスターを集め時間稼ぎに、そして自分のいる二十階層にヘドヌス最強のモンスターを集め、最終防衛ラインを築いていた。
それにヘドヌスには勝算もあった。
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