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「お前らには本当に感謝してもしきれない……。」
「気にすんな、どうせ俺達には無用の長物だ。」
それにしても、とムノは思う。
この二人は本当に兄妹なのだろうか、レオの髪は茶色なのに対してティナの髪は性格をそのまま表しているようなオレンジ。
どうやら視線でムノが考えている事を理解したらしいレオ、
「あぁ、俺とティナは本当の兄妹じゃないんだ。」
「……不躾だったか?」
「いや、ただ俺もティナも捨て子で一緒に暮らしているだけだ。
ここらじゃあ特に珍しいわけでもないしな。」
ムノは思う、親の愛を知らぬ不幸を憐れむのと親に裏切られぬ幸運を羨むべきかを。
結局、今が幸せならそれでいいじゃないかという結論に至り、思考をやめるムノ。
「なるほど、彼女の衰弱を治したくて霊晶を求めてたのか。」
「あぁ、色々……あってな。」
暗い影を顔に落とすレオ、これ以上赤の他人が踏み込むのは不粋と思い、ムノは話題を変える。
「そういえばこの国のスラムって随分と良い環境なんだな。」
「あぁ、この国の大公様とオイスト・ファミリーのお陰だ。」
「オイスト・ファミリー?」
聞いた事のない単語に疑問符を浮かべるムノ。
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