下界狂騒曲

32/37

8321人が本棚に入れています
本棚に追加
/181ページ
「ジーサンよぉ、俺達オイスト・ファミリーだから見回りであんまし遊べなかったんだよねー。」 「そうそう!だから俺達にお小遣いくんね?」 これはまぁなんとも 「小者っぽいカツアゲだな。」 「今時まだあんな阿保な脅迫する奴いたのね。」 「「「「あぁ!?」」」」 どうやらムノとミラの会話が彼等にも聞こえていたらしい。 標的を老人からこちらに変えて近づいて来る。 「ミラ、奴らがお前をナンパしてくるに綿あめ。」 「私もそっちに賭けようかしら?」 「それじゃあ賭けにならないだろ。」 「ガタガタ抜かしてんじゃねーぞ!!」 と、ここでチンピラの一人がムノの胸ぐらを掴み上げる。 「あれ?ちょっとこの子可愛くね?」 「確かに!」 「へっ、ねーちゃんこんなひょろい男なんかほっといてぼご!?」 起こった事は実に簡単だ。 ムノが胸ぐらを掴んでいたチンピラの顔面を殴っただけだ。 弾け飛ぶ前歯、吹き飛ばされるチンピラ。 そして前歯が地面に落ちた瞬間、 「げごぉ!?」 限界まで力を抜いた回し蹴りが横に立っていたチンピラの顎を蹴り抜く。 「ふっ!」 そしてようやく事態を理解してムノに殴りかかろうとしたチンピラの腹を軽く小突き、膝を曲げてくの字に折れ曲がったチンピラの膝に片足を乗せて飛び上がり、空中で膝蹴りをチンピラの側頭部にぶつける。 所謂シャイニングウィザードだ。 「さて、残り一人!ってあれ?」 残りの一人がいない。 いや、いた。 「………。」 老人を守るかのように立つ、黒服の顔に傷を持つ男が残り一人のチンピラの顔にアイアンクローをしていたのだ。 チンピラは既に気絶しているのかピクリとも動かない。 「わお、凄い。」 「ふぉふぉふぉ、あんたも十分凄いぞ若いの。」
/181ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8321人が本棚に入れています
本棚に追加