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何を言っているのか分からずポカンとするムノ。
「ふぅむ、言葉が足りないかの。
オイスト・ファミリーに入らぬか?と聞いておるのだ。」
どうやらさっきのは試験で、今自分はスカウトされているらしい。
「生憎だが俺ら夫婦は旅人でな。
ここに定住する気もないし残念だが。」
「そか、残念じゃのう。
これを避けられるなら即幹部入りしても良いくらいじゃが……」
「ん?じゃあどれくらいだったらファミリーに入れるんだ?」
避けられるだけで幹部入りとはまた豪勢な、と思うムノはふと思いついた疑問を老人に投げかける。
「ふむ、反応すれば末端から。
避ける動作をすれば本部入りかの。」
流石に避け切る事は出来ないかもしれないが避ける動作をするくらいなら彼にもできるかもしれない。
「爺さん、俺は無理だが一人見込みのある奴がいるんだけど……」
「ほう?」
ニヤリと笑うムノを見て同じくニヤリと笑う老人。
この人のようなタイプは苦手だ、と思いつつもムノは話を続ける。
「ここから先のスラムの……えー、確か四つ目の長屋の赤いドアのとこに住んでるレオって奴なんだが。」
「レオ?……おぉ、思い出したわい!お主と腕自慢で戦っておった若者か!!」
どうやら老人は腕自慢大会も見ていたようだ。
実はこの老人、ムノをスカウトするためにわざとチンピラに絡まれていたのでは?と疑い始めるムノをよそに老人は口元を笑みの形にしたまま考える仕草をし、
「ふむ、ラッツェ行くぞい。」
「ドン、そろそろ本部へ戻って……はぁ、分かりました。」
「じゃあの若いの、
船を落とさぬよう気をつけいよ。」
「「!!!!!!」」
驚愕するムノとミラ。
だがそんな二人をよそに老人はカラカラと笑うとそのまま去って行ってしまった。
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