絶望

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私が、ここに来て何年経っただろうか… ここに来たときは楽しかった 何一つ不自由なく、自然に囲まれた寝床 一日に何回か散歩に連れて行ってもらえて 昼は、遊んでもらえた でも、ある時から… 私の飼い主が、ここに連れてきてくれた彼女が 少しずつ、散歩に行かなくなった 少しずつ、遊んでくれなくなった 少しずつ、寝床も汚れていった そして…いつしか朝と夜に一回ずつのご飯 ただそれだけを待ち 縄でつながれ 縄の届くわずかな範囲を行ったり来たり ただそれだけの毎日 いつしか、あんなにも美しかった あの頃の思い出は廃れ あんなにも美しかった あの風景は、あの寝床は 絶望しか、映さなくなっていた… 私は死ぬまで、ここにいなければならないのだろうか 私は死ぬまで、この生き地獄を味わわなければならないのだろうか
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