希望

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ある時、ご飯を毎日くれる人が 突然私を連れ出した そして、新しい寝床に入れられた いつもの寝床ではなく 別の犬の匂いのする寝床 けして、あの場所のように 臭くもなく 雨風に吹かれくこともなく 暖かい毛布があり 汚い水ではなく 毎日、新鮮な水と食べ物をもって来てくれる場所だった そこが新しい寝床だった そして、ある時、散歩に連れて行ってくれた 私は衰えていて、あまり速く走れないし 体力もないけど それに合わせて歩いてくれた ある時、私のどうしようもなかった 伸びすぎた汚い毛を切ってくれた 絡まって動きづらかった私の毛の毛玉も 全部切ってくれた 汚い私を暖かい水で洗ってくれた 私は、天国にいるのではないかと錯覚していた それほどに、幸せだったのだ もう、あの絶望しか映さない 前の寝床へ 戻りたくない そう思わせるほどに
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