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「あんた勝手にクールになってんじゃないわよ!」
「逆ギレ? ……落ち着け、別にお前のことまだ変に思ったりしてないから!」
「まだって何よ、まだって!!」
しまった、ついうっかり本心が口を滑らせた。
「いい? それもこれも全ては酒が入っているせいよ。あんたも今日と言う日は飲みなさい」
そう言って姉貴が一口飲んで手渡して来たカンは、残念ながら中身はノンアルコールである。
……ノンアルコールなら別にいいか。
俺もならって一口飲んだ。
なんとなく、荒ぶった場が落ち着いた。ーー主に、姉貴の気が落ち着いた。
「お前の気持ちは分かった。要するに、俺次第なんだろ? 要は、俺が親にコンプレックスを感じなくなれば、大学に行かなくてもいいんだよな?」
「……良いとこを全部持って行かれた気がするけど、別にそれだけが大学に行って欲しい理由じゃない。あんたには大学行かせてあげる、だから行って来なさい」
「金はどうすんだよ」
「で、話が一周したわね」
「茶化すなよ! 大学に通うためには避けては通れない問題だろーが」
こういう無駄な会話が一番イラつくわ。今までの話し合いは何だったのか……。まあ、無駄ではなかったけど。
「お金の工面は私がする」
「……変なところに手を出したりしないだろうな」
姉の手刀が俺の脳天に落ちた。軽く痛い。
「アホ。んなバカなこと私がするはずないでしょ」
……だからって叩くことないだろ。
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