1章 『こんなに気持ちのいい日には・・・』

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「直也~。今日の朝ごはんは~?」 制服姿の女の子が朝ごはんの用意をしている俺の隣にやってくる。 「今日は、一昨日漬けておいた胡瓜の漬物にジャガイモと玉ねぎの味噌汁に焼き魚だな。」 「やった、大好物!!」 嬉しそうに食器棚から手際よく食器を運ぶのは幼馴染の『伊織 弥生』。 弥生の両親は海外に仕事に出ていて下宿先が俺の家なら平気だろうと預けている。 「おっは~、ナオくん。」 「ん、いい匂いだね。」 廊下側の扉から入ってきたのは、ポニーテールの制服を着た女の子と寝癖だらけのままの女性だ。 ポニーテールの方は『明智 静流』。俺より1つ下の高校1年生だ。 で、もう1人はこの下宿で一番上の『古家 桃花』さん。大学1年生だ。 トウカと読むのだが、みんなからは桃姉と呼ばれていたりもする。 「桃花さん、寝癖ぐらいは直してください。 あれ?レイラはどうした?」 レイラというのは、ここに下宿している1人『レイラ・F・天堂』の事だ。 結構、この子は病気がちで・・・。 「弥生、レイラの様子見てきてくれないか?」 「あ、うん、わかった。」 弥生は居間を出てレイラを呼びに行く。 レイラは病気がちでもあるのだが朝もかなり弱い。 ちなみに、俺と同い年だが帰国子女ということで学年は静流と一緒の学年だ。 「じゃあ、あとは・・・」 って、いたな。 彼女は既に自分の席に座って本を読んでいた。 「結花?朝の挨拶は?」 「あ・・・、おはよう。」 「うい。」 この無口な子は『片月 結花』。 本が大好きで一度自分の世界に入ってしまうと本を取り上げる以外に自分の世界から帰ってこないのだ。 それでいて人見知り。 この下宿の中で一番心配な1人だ。 「う~ん、いい匂いだね~。おはよう~直也くん。」 「あぁ、おはよう、凛。」 こののんきそうなのが『鈴女 凛』。全く名前負けを起こしているんじゃないかと思うほどのマイペースぶりだ。
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