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君に逢いたい……
だだそれだけなんだ
僕は君に
逢いたくて 逢いたくて
しかたがないんだ
今日も呼吸が苦しくなる
息がうまくできない
君と逢えなくなって
話せなくなって
どのくらいの時間がたったんだろう……
季節は?
天気は?
わからないんだ
なにも感じない
感じたくない
君が見られないなら
目なんていらない
全部見えなくていい
君の声がしないなら
耳なんていらない
なにも聞こえなくていい
君に触れられないなら
肌の感覚なんていらない
誰かに触られても解らなくていい
君と話ができないなら
声なんていらない
僕から発する音が無くなればいい
僕は
君に逢えなくて
寂しくて 辛くて
少しずつ 少しずつ
感覚が消えていった
それでもいい
もう二度と君と逢うことが
できないなら
もういっそ
僕の身体を駆け巡る
命も無くなればいい
もう辛くないように
ぼ く か ら す べ て が き え た ……
これで
やっと…
君の所へ行けるかな…
目も耳も声も
そして心臓も役に立たなくなった
僕の機能が停止した
『もういいよ…
あなたがそんなに苦しむなら
もう、こっちに来てもいいよ…
ずっとそばにいるからね
どこにも行かないから
一緒にいるから
苦しまないで』
君の声が聞こえた……
優しい君の声が
機能しなくなった僕の耳には
聞こえないはずなのにね
君の声だけが聞こえる
君の体温を感じた……
温かな君の体温を
温度も触感も感じなくなった僕の肌には
なにも解らないはずなのにね
君の体温だけは感じられる
目の前に君が見えた……
柔らかな笑顔の君が
視界が真っ暗な僕には
ただただ真っ暗なはずなのにね
君の姿だけはよく見える
声を出して君を呼んだ
精一杯、声をだして
でも僕の喉からは
空気の通る音しかしなくて
これは
君の声を聞くための
君の体温を感じるための
君の姿を見るための
代償?
でも
君に会えたから
声はいらない
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