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「隊長!!」
蒼龍は立ち上がり、体力が無いとは思えない動きでゼイスの前に立ちはだかった。
「蒼龍…」
「今は"呪われている身"で彼に立ち向かう気なの?」
昔語った事。自身の過去を教えた"弟"。ゼイスの目の前には本機で阻止せんが為の瞳で見つめる蒼龍がいた。
「分かってくれ…。アレは野放しにするわけにはいかないだ。」
「死ぬ気でしょ。」
その言葉の意味、ゼイスは知っている。だから嘘はつかない。
「刺し違えてでも…倒さなければならない相手だ。」
その言葉に嘘は無い。だが蒼龍もまた引けない。
「今は魔剣アレスは無いんだ!差し違いもほど遠いはず!それは勇気でも覚悟でもなく無謀だ。」
ゼイスが持っていた、究極の魔剣。砕かれた実の親の魂を司る魔剣。
「…」
ゼイスは言葉を放たない。
「隊長、理解して。僕は…本気だから…」
そう言って右手に集めた爆炎は最も巨大になり直径1mに及んだ。
「…分かった」
そう言って剣を降ろした。
「隊長…」
刹那―
ゼイスの身体は吸い込まれるように蒼龍の内側に入り、そして…
腹部を抉った。
「うっ…」
ゆっくりとゼイスは告げた。
「蒼龍…すまん」
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