転来者より ■[死を歌う少女 -第四説- 2nd外伝]

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転来者より ■[死を歌う少女 -第四説- 2nd外伝]

 ガコン!! 崩れる音。病院の更に奥。一人の男が闇道を降りていく。隠された部屋。 それは彼を襲ってきた村人から入手した情報だった。下へ下へと降りていく。 その先の道に小さな明かりが見えるのと同時に声が聞こえてきた。 「…が氷雨を殺した。だからお前は死すべきだ。」 その声は古い友人の声でもない知らない声だった。  呪いは体を蝕んで縛るようにゼイスを苦しめた。 笑って立っているのはマルセイユと言う名の医者。いや、そのように顔も変えたゼイスの知り合いだった。 「クライスト…」 ゼイスは身体を抑え、そしてシャムシールを杖のようにして立ち上がる。 「軽く衝撃波を放っただけでフラフラ…か。アレスが無ければお前もただの木偶人形だな」 そう言うと彼はメガネを中指で上げて不適に笑った。白衣の下から自信に満ち溢れるような威圧をかけながら… 「…まだ、人間が神になれると思っているのか?」 「愚問だな。」 ゼイスは身体を起こし壁に背中をつけ、そう確認した。もちろんと言う感じでクライストは即答で返す。 「ヴァブルは…それで崩れた。思い上がった人間の愚…」 「黙れ!!崩したのはお前だ。私の研究も全て…お前が崩したのだ。」 怒りに満ち溢れその言葉はゼイスを脅すように高揚した。 「私の大切な氷雨を奪い、氷雨の心を壊した落ちこぼれめ!!神の紋章も持たず、人間の進化をも否定するお前は一体何様だ!?」 その言葉は更にゼイスを責めるように続いた。それを黙って聞き続けるゼイス。 「だから…お前だけは特別な苦しみにのたうつ結末を用意したんだ…。」 そう言うとクライストは一つの巨大なカプセルに手を当てた。 「最強の人類種。研究段階だが、とうとう実践レベルまで完成した。」 カプセルの中のの煙が少しずつ消えていくとそこには真っ青な身体の青年が眠るように瞳を閉じていた。
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