9人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
「別にいいじゃん? 帰るときくらい」
「ん? まあ、そうだなぁ」
「てか俺も彼女作るわ」
「マジかよ。てかなんだよその余裕発言!」
確かに俺は男で、お前も男だ。
俺は守ってあげたくなるような奴でもないし、直接告白する勇気もない。
けど、なんでだよ。
俺のほうが絶対、お前のこと好きなのに。
お前と一緒にいるうちにだんだん良いとこが見えてきて、目が離せなくなって、好きになってたんだよ。
胸が締め付けられるほど、涙が出るほど好きになってたんだよ。
「あーあ、うまく行かねーよな、ほんと」
「なんだよいきなり」
「お前に彼女ができるとか、ねーわ。早く別れろ」
「おま、最低だな!」
「ははっ。まーね」
でもそれを言葉にしたら、俺はお前の隣にすらいれなくなる。
だったら、だったら言わないほうが何倍もマシだった。
お前に彼女ができようが、一緒に帰れなくなろうが。
時々こうやって俺の隣でお前が馬鹿みたいに笑ってればそれでいいって。
いいって──
「俺さぁ、嘘つきだわ」
「はあ? 今度はなんなんだよ」
「ごめんな、俺、嘘つきだ」
「んだよごめんって」
「でも、お前も嘘つきだから、おあいこな」
最初のコメントを投稿しよう!