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「リーマンの癖に生意気なんだよ、おっさん!」
「だからおっさんじゃ…」
即座にボディブロー。肝臓に綺麗に入った。魔法を使えばいざ知らず、生身だと普通に痛かったりする。
しかも、いつの間にか例の中坊が消えている。あの野郎。
だったら、俺がここにいる意味ないじゃないか。
「オラァッ!」
金髪が両手をハンマーの様にして頭部に振り下ろす。不覚にも目の前で火花が散った。
やり返したい。こんな奴らに見下されるのが我慢ならない。
だが、もし警察沙汰にでもなったらどうする?養ってくれてる爺さんと婆さんに何て言えばいいんだ。
先に手を出したのはこいつ等だ。だが、それが暴力の理由になるほどこっちのルールは単純じゃない。
とにかく中学生が逃げ出した今、ここに居残り続けるのは得策ではない。
ので、隙を付いて強引にその場から走り出す。
「あっ!待ておっさん!」
「逃げんなよおい!!」
走る。
夕暮れに染まった公道を一心不乱に走り抜ける。運動能力だけは人一倍あるつもりなので、直ぐに撒くことができた。
「はあっ…はあっ…!
何だってんだ畜生…」
不様だろ。
これ勇者だったんだぜ。
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