東京フリーター~イケメンと幼馴染と、ときどき佐藤~

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◇ 月日が経つのは早いモノで、俺が異世界から帰って来てもう六ヶ月が経過した。 しかし、俺は未だにどこにも就職出来ずに四苦八苦している。 流石に働かないのはマズイので、今は近所のスーパーでバイトをし、その給料を生活費や就職活動への資金に当てている。 正社員への道はまだ遠い。 「ありがとうございましたー」 この貼り付けた様な営業スマイルも、いつの間にか板についてきた。 最初は苦手だった接客も今ではお手の物。正直、魔物を殺していた時よりもしっくり来る有様だ。 労働の充実感もある。無駄な時間を過ごすよりもよっぽど有意義だ。 だけどこれ、何か違うんだよな。 「佐藤くん」 背後からの声に振り向くと、パンチパーマの中年が制服姿でにっこりと微笑んでいた。 「あ、どうも店長」 店長の熊谷さんだ。そのヤクザみたいな外見に反して、非常に温和な性格でスタッフ皆から慕われている。 「お仕事お疲れ。そろそろ時間だから、もう上がっていいよ」 あれ、もうそんな時間か。 時計を見てみると既に勤務終了時刻まで迫っている。最近、労働してると時間が過ぎるのが早く感じる時がある。 「まだ時間あるんで、これ終わったら帰ります」 途中で終わらせるのも気持ちが悪いしな。
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