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それも結構ヘビーな問題が。
図星だったのか、こづみは少し目を見開いて、小さなため息をついた。
「草くんって、意外と鋭いですよね…」
「いいから話してみろよ。
その為に来たんだろ」
その言葉を境に、俺とこづみの間に長い沈黙が流れた。
やがて意を決したのか、こづみは俺を真正面から見据えた。
「実は私…」
「うん」
「学校を…」
「学校を…何だ?」
学校で嫌な事でもあったのか?
もしかして学校で虐められているのか?いや、こづみに限ってそれはあり得ん。
「学校を卒業したら…」
風鈴が木霊する部屋の中、こづみら震える唇で小さく小さく、呟いた。
「私、イタリアに行くんです」
………………………………………
………………………………………
………………………………………。
イタ…リ…。
板…リア?
「オランダ?」
「いえ、イタリアです」
………………………………………
………………………………………。
「そうか…イタリアか…」
………………………………………。
「美味しいよな、あれ」
結果としてそのカミングアウトは、俺を酷く混乱させる事になった。
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