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それに対するナインの反応は、今までとは打って変わって淡白なものだった。ただ、「そうかい」とだけ言い、微笑みながら小さく頷いた。
「…そういう事なら、君の入組を認めよう。歓迎するよ。家にはあたしの方から掛け合ってみるよ」
「あ、はっ…はいっ。宜しくお願いします…」
「もー、そんな畏まらなくて良いんだよ?こづみちゃんは可愛いなー」
ナインはこづみの両肩を叩きながら、楽しそうに二ヒヒと笑う。
それにつられて、こづみもぎこちなく笑った。
そんな様子を、俺は憮然とした態度で見守っていた。
「…こんなに簡単に決めて良いのかよ?」
「はい、リーダーはナインですからね。私がどうこう言う権利はありません」
いや、構成員自体が少ないなら、一人一人の意見が尊重されるもんじゃないのだろうか。
「それに、私は特に反対してるわけではないので」
「…………」
それ以上、俺たちの間で会話が展開される事はなかった。
まあ、初めから俺が口出しすることじゃない。
しかし、本当にこれで良いのだろうか。なんだか全部ナインの思惑通りに進んでいる気がする。
吾妻さんは一枚噛んでいるのかいないのか微妙な線だが、どちらにせよきな臭さが抜けない展開だ。
まあ、こづみ本人もやる気出して元気になったみたいだし、取り敢えず俺は何も言わないでおこう。
◇
「ではまた会おう、青年達よ」
その一言を残して、ナインと吾妻さんは今度こそ去って行った。
というか帰り際の会話から察するに飲みに行った。
吾妻さんはともかく、ナインは見た目がアレなのでアルコール摂取は大丈夫なんだろうか。
明日捕まったりしてないだろうな。
流石に遅くなっていたので、こづみを家まで送っていくことにした。
昨日雨が降ったせいもあってか、今日の夜風は少しばかり肌寒い。
そう言えば冷房を使う機会も近頃少なくなっている。少しずつ秋が見えて来たようだ。
「まさか、こんな田舎町に天位魔術師が来てるとは思いませんでした」
「そうだな」
というか知らなかったのだろうか。こづみはそういう情報を見逃すタイプじゃなさそうだし。
じゃあ認知出来なかったのは世間の方か。
「ナインさんは神出鬼没で有名なんです。本部の人でも姿を見るのは稀らしくて」
「ふーん」
まるでツチノコみたいな奴だな。
いや、ツチノコは土村先生か。
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