一級を目指して

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◇ あの日から二日後、俺宛に協会から猫組に正式に所属したという旨が書かれた書類が届いた。 送り主はかなり有名なNGO団体からだった。察するに表社会での立場はこういう風になっているのだろう。意外だ。 書類には俺の管理者となる者の名前が幾つか記載されていた。 欄に書かれた名前はナインと吾妻さんの他に三つ。 その中にはこづみの名前も入っていた。どうやら無事加入出来たらしい。 これはナインから聞いた話だが、こづみが猫組に入るに当たって、識神家の中で話が相当に拗れたそうだ。 特に識神幻斎は最後まで反対したらしい。まああれだけ膳立ててたのにこのタイミングで袖にされれば当然か。 加えて識神幻斎とナインとの間で昔一悶着あったそうで、それはもう激昂を極めたらしい。 それとは逆に、こづみの両親はナインに対して大きな恩があったそうだ。 勿論、それに伴う信頼も。 最終的に決定を下したのは現識神家の当主であるこづみの母親。 猫組への加入。イタリア支部への下積みという形での留学。 一般的な魔術師からすればどちらの進路がキャリアにとって優れているかは明白らしく、幻斎の反論を押し切る形でこづみは猫組に身を振る事になった。 親御の方が娘の未来を願ってすんなりと了解したにもかかわらず最後まで反対したという事は、やはり幻斎という男には他の思惑があったのかもしれない。 普通に面子を保ちたいという可能性もあるが。 まあなんにせよ上手くいって良かったと喜ぶべきだろう。 が、あまりにも爺さんが煩いので一級を取る事自体はやめないそうだ。 また何らかの形で邪魔されなければ良いのだが。まあ、その辺はナインが何とかしてくれるだろう。あいつはなんだかんだで思慮深い奴だからな。 そして更にその翌日、俺とこづみは猫組になって初めての任務に望むことになった。 日本某所でとんでもない化け物が目覚めようとしていることも知らずに。
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