宍戸王子と笑えない俺

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「僕は宍戸良弥。一緒に頑張ろう」 爽やかな笑顔を浮かべて、宍戸が右手を俺に差し出す。握られた手がぎゅっ締まる。なんとも力強い自己紹介に気圧されてしまった。これでこいつのとの握手は二度目になるのか。 「あの、識神こづみです…。よろしくお願いします…」 おどおどとした態度で近づいて、こづみがぺこりと丁寧に頭を下げる。こいつは昔から人見知りなどで割と予想した対応だが、何だか様子がおかしい…? 警戒しているのか? まあいい。どの道俺の知るところじゃないだろう。 王子とこづみを除いて、あの中で俺が知らないのは奴は二人だな。 茶髪のツンツンしたツインテールが宇藤美月(うとうみつき)。 人形みたいな緑髪の外人さんがティア・バーミリオン。 宇藤さん、ティアさん…うん、うん。 うんオッケー☆ そのうち覚えるよ!うふふ 狩りの目的は妖魔の捜索なので、結局二つのチームに分けられる事になった。 内分けはこうだ。 俺、高槻、緑髪、ツインテ。 先生、王子、こづみ。 このメンバーで見つけ次第殺るも良し。別働隊に報告して応援を呼ぶも良し。素数を数えて落ち着くのもよし。オシャレ系居酒屋で一杯やるも良し。 とにかく死なない事を心掛けて欲しいと土村女史は真摯に言い聞かせていた。 「では、何かあったらすぐに知らせるんだぞ」 そう言い残し、さっさと土村女史率いるメンバーは行ってしまった。聞くところによると王子達は街の外れ、俺たちは山側の妖魔を任されているらしい。 「では、俺たちも行きましょうか。さと…キャベツ太郎さん」 「うん…そうだね…高槻くん…」 キャベツ太郎さんは悲しくなんてないよ。 だって強いもん。
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