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そうやってちんたらしている内に、向こう側からこづみを呼ぶ声が聞こえて来た。王子だ。
「こづみー?早くおいでよー!」
「あっ…!あ、…あぅ…」
俺と王子を交互にキョロキョロと視線を移し替え、少しばかり思い悩んだ様な仕草をした挙句、ぺこりと深く頭を下げた。
「ごめんなさい…何でもありません…」
「そうか」
「はい…引き留めて申し訳ありませんでした…」
再度丁寧なお辞儀をして、こづみは駆け足で王子達を追いかける。
あいつが何を思ったかは知らんが、とにかく深く詮索されなくて良かった。話していると妙なボロを出す可能性があるからな。
「…じゃ、そろそろ行くか高槻」
「はい、先生」
「先生って言うな」
「では師匠と」
「やめろ」
本当にやめろ。
体が痒くなる。
「全く…。
大体なんでこづみだけ良弥と一緒なのよ…。
もういいわ、行きましょティア」
深く嘆息するミッキィ。それに同調するように、緑髪の少女は顔色を変えずに無口なまま首肯する。
「急いだ方が良い。もう動き出してる」
ティアとやらはそれだけ呟くとすぐさま身を翻し、ミッキィと一緒に先に行ってしまった。
俺が思うのも何だが、纏まりが感じられない。こんな小学生の給食時間みたいなノリで大丈夫なんだろうか。
様々な不安要素を抱えて、妖魔狩りは始まった。
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