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公園を出発してから20分後。俺たち一行は、早くも一体目の妖魔と遭遇を果たしていた。
「ティア!そっち行ったわよ!」
俺たちと相対するはカマキリのような妖魔。というかカマキリだった。
ヒグマサイズになったカマキリは自動車の形に圧縮された台風のようで、鎌の範囲に近づけば即座に微塵切りにされてしまう程の脅威を秘めている。
現にカマキリの周囲の木々は瞬時に根元から切り裂かれ、みるみる内に更地へと変わってゆく。昆虫キモォス。
かと言って、こちらもやられるばかりではない。
カマキリの攻撃範囲外から高槻がスイカサイズの炎弾で牽制し、ミッキィが怯んだ間隙をついて風を纏わせた長いレイピアでカマキリの外殻を削り飛ばす。
ティアとかいう物静かな少女は障壁を出して防御したり、度々仲間を回復させたりと臨機応変に上手く立ち回りを見せていた。
一方俺はというと、遠くで見学していた。
いや、加勢しようとはしたんだよ?したんだけどね、ミッキィが何故かそれを許してくれなかったんだよ。何でもまだ俺の事が信用出来ないらしい。
なにこの体育の見学みたいな状況。暇すぎて笑えない。
しかし、あのカマキリの妖魔。
どうやら見たところ数日前に見た虎の奴よりも数段弱いようだ。攻撃力を取れば長所が気持ち悪い総身しか残らない。昆虫キモォス。
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