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「美月…取り乱すのは良くない。それに、今回は何があるか分からないのも事実」
静かに、それでいて真摯な態度でそう言い聞かせる。やけに対応が慣れているとこを見る限り、いつもこうなのかもしれない。
「ティア………でも…」
「少なくとも、高槻くんが手も足も出なかった妖魔に私達が勝てるとは思えない」
ぐっ、と弱点を突かれたようにミッキィが言葉を喉につまらせる。
終始憮然としていたミッキィも彼女にはあまり逆らえないのか、渋々と頷いた。
「…いいわ。ただし条件がある」
「条件…?」
誓約と制約か。
「あんたがやっていいのはフォローのみ。前衛が私だけなのは変わらない」
「つまり、後ろから援護射撃しろってことか?」
「そうよ」
「じゃあ無理だ」
「…………は?」
きっぱりとかぶりを振る俺に対して、ミッキィは底冷えた、それこそホワイトデビル時代の安西先生みたいな声を漏らした。何こいつ怖い。
「俺、魔法は【強化】以外は殆ど使えないんだよ。だから遠距離に対応できない」
ビシッ、と時計の針が止まったかのように、三人が三人とも静まり返る。高槻でさえも驚きを隠せないように口を開いていた。
ミッキィに至っては完全に頭のおかしい人を目の当たりにしたそれになっている。
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