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「冗談よ…。魔法の無駄打ちなんてするわけないじゃない」
「…そう。ならいい」
パチン、と指を鳴らすと箱型の結界が消えてゆく。高槻とミッキィは依然睨み合い、ティアは気まずそうに表情を曇らせていた。
よく分からないが俺の発言のせいで何とも言えない空気になってしまった。
「で…ミッキィ、結局俺はどうすればいいんだ?」
本当は判断を仰ぐ義務などないのだが、今ミッキィの気持ちに反する行動を取れば余計にややこしくなるのは明白だ。大人しく従っといた方がいいだろう。
「…さあ?遠くで石でも投げてれば?でも助けはしないから」
冷めた目。いや、冷めてすらいない。道端のゴミを見る目で一瞥して、視線を合わせずに吐き捨てるように言って、踵を返す。
もう少し聞きたい事があったのだが、彼女の背中がこれ以上話しかけるなと言っている気がした。
これは何も初めての経験ではない。異世界でも同じ様な事が何回かあった。
えー?マジ!?ファイアーボールが使えないのが許されるのは小学生までだよねー!とか、本当にこういう価値観なので俺としてはたまったものではない。
「ああ…言い忘れてたわ」
ふと何かを思い出したように、ミッキィが数歩ほど歩いたところで立ち止まる。そのまま肩越しに顔だけ振り向いて、冷厳な瞳を俺にぶつけた。
「もし私の邪魔をしたら、殺す」
次号、バトル展開。
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