この作品は本棚「あとで読む」に入っています
本棚「読んでいる」に移動
◇
あれから会話こそ減ったものの、高槻らの連携が乱れる事もなく順調に進み、数にして5体もの妖魔を倒す事に成功した。
現れた妖魔はあの虎にこそ劣るが、どれも弱いというわけではなかった。にも関わらず、それを難なく排除してしまう彼らの手腕に舌を巻く。
高槻の話によると、今回実習に来た奴らは学園の中でも上位五名の成績優秀者。アマチュアといえどそれなりの実力があるのだろう。
依然として俺に出番は無い。変わった事と言えば依然としてミッキィが俺をガン無視してる事くらいか。
どうやら彼女の中で俺は最低の評価を貰ったらしい。その一方で何故か警戒は解いていない。あれだけ見下しておいて危険視するところを見ると、割と心配性なのか。
「この辺は…あらかた片付いたわね」
言いながら、ミッキーは一息ついて額の汗を拭う。見回せば全員の息が上がっていた。あれだけ動いて魔力を消費すれば当然か。
「ティア、残りはどれくらいだ?」
高槻が聞くと、ティアはまた周囲をくるりと無表情で見渡して、不意にその顔を大きく顔を歪ませた。
「山頂付近にまだ一体…。大きい…」
「よし。じゃあ、今日はそれで最後にするわよ」
ぺちぺち、と気付け為に顔を軽く叩くミッキィ。その仕草が何とも言えないくらい似合っていたので凝視していると、おもくそに睨まれた。
そこから刺すような視線で取り敢えずもう一睨み。野良犬を追い払う時の目によく似ていた。これには流石の草介君も苦笑い。気の弱い子だと登校拒否になるレベル。
まさに視線のドッジボール。
最初のコメントを投稿しよう!