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「…………」
思わず言葉が喉に詰まった。詰まったと言うか、惚けたという方が正しい。
ふと、あの会話を思い出した。
『先生は自分の意思で妖魔狩りに参加してくれたんだぞ!』
『そこから既に怪しいのよ。いくらなんでもタイミングが良すぎるわ。土村先生が許しても私が許さない』
土村さんやミッキィが言っていたのは【これ】の事だったのだ。確かにそういう事情ならミッキィが散々俺を警戒したのも頷ける。
いや、どころかこんなあからさまな釣りはどんなアホでも疑うだろう。そりゃあそんな都合よくピンチに助けが現れるわけがない。
更に増援を拒んだのは協会の方だ。俺の事を何らかの企みをだと思っても何ら不思議ではないし、当然怪しみもする。
つまり、ミッキィが俺を戦闘に参加させなかったのは俺の事が嫌いだったからではない。戦闘中に何をしでかすか予想できなかったからだ。
あいつなりに仲間の事を考えての行動だったのだろう。
というか俺なら公園に現れた時点でボッコにする可能性すらある。ひょっとこって何だよ。ふざけてんのか。なあ高槻。お前ふざけてんのか。
「普通の魔術師なら、
そんな風に顔も明かさない人に協力を仰いだりはしない。絶対にしない。
それでも承諾せざるを得なかった。戦力は一人でも多い方が良い。それが強力なものなら尚更」
こんなに怪しい奴でも、それこそ身分の一切も証明出来ない奴でも協力して欲しかったという事か。それほど切羽詰まった状況だったと、そう言う事だろう。
「はっきり言って、太郎さんはとても怪しい。正直私は協会からの回し者だと今も疑ってるし、怖がってる」
ティアは「でも」、と継いで。
「…一番不安なのは、多分美月」
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