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◇
「そろそろ行くか」
「うん、それが良い」
少しばかり時間をロスしてしまったが、大事な話を聞けたので良しとしよう。
先行したミッキィ達が心配だが、高槻が付いているのでミッキィも一人で妖魔に挑むような馬鹿な真似はしないだろう。
が、早目に追いついていた方が良い事には変わりない。
と思っていると、暗闇から一つの人影が出て来た。男だ。一体誰だと思って目を凝らしてみると、よくよく知っている人物だった。
「高槻…?」
そう、さっきミッキィを追って行った筈の高槻浩司が現れたのだ。奴が何故とんぼ返りしたのか理由を考えていたが、高槻の総身を見て思考が全て吹っ飛んだ。
高槻は全身血だらけで、今にも死に絶えそうな状態だったからだ。
「高槻君!」
間髪を入れずにティアが高槻の側へと駆け足で寄り添い、今にも倒れそうな体を支える。
彼女にとっても余程の出来事だったのか、かなり焦った表情をしていた。
「何があったの…?」
「大型の妖魔に…遭った…。そいつが音も無く近付いて、あっという間に…」
大型の妖魔というのは、ティアがさっき言っていた奴だろうか。かなり正確な位置まで感知していたし、流石に仲間と接触 したら分かるんじゃないのか? 本当に何があったんだ。
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