神域のミコ

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端に置いてある注文を手に取ろうとすると、隣でケンちゃんが神妙な顔で微動だにしていないことに気付いた。 「どうした?」 「いや…なんか直に話してみると、威圧感凄かった…」 「そうか?」 俺にはごくごく普通のおっさんに見えたが。 「草ちゃんは、何も感じなかったの?」 「ああ。むしろ小物っぽく見えたな。やたらと饒舌でうざいっていうか…」 そこから更に続けようとした寸前、ケンちゃんの呆気に取られたような瞳を見て、俺は思わず言葉を飲み込んだ。 「…草ちゃんが初対面の人をそんなに嫌うのって、なんか珍しいね」 「…そ、そうか?」 「うん。草ちゃん、あんまり人の悪口とか言わなかったし」 そうだろうか。確かに、あまりそういうのは口に出さなかった気がする。 でも、あいつムカつくんだよなぁ。鬼ヶ島の時もそうだったが、見た瞬間他人に嫌悪感を抱いたのは、グランレイア以来だ。まあ奴のクズっぷりに比べれば、ダズモンドなど比べようもないが。 いや、そんなことはどうでもいい。飯を食おう飯を。 「すいません。注文お願いします」 「へい」 言うと、突如としてキッチンの主人が消え、いきなり目の前に瞬間移動した。ヤードラット星人か何かだろうか。まあいい。 「この生肉の刺身の盛り合わせって奴と、あん肝一つ。あ、あとワカメ。ワカメサラダ」 「かしこまりやした」 「ケンちゃんも何か頼む?」 「じゃあ、私は酒盗と唐墨を」 「了解。すぐに準備いたしやす」 主人は言うと、また瞬間移動でキッチンに消えていった。それにしても渋いチョイスだ。 なんだか楽しくなって来たぞ。今だけはロギンスに支配されていることは忘れて、ケンちゃんと2人で楽しもうじゃないか。 「よし、じゃあ仕切り直そう。ケンちゃん、コップコップ」 「もう、はしゃいじゃって…」 俺のハイテンションに呆れつつも、ケンちゃんも満更でもないご様子だ。ここでいい具合に羽目を外すとしよう。 「ほら、ケンちゃん。うぇーい!うぇーーーーい!」 「はいはい…って、ちょっと待って」 ケンちゃんは手で待ったのサインをかけると、おもむろに携帯を弄り出した。どうやらメールか何かが来たらしい。ここは電波もバッチリ通っているのだなと思っていると、不意にケンちゃんが神妙な顔で面を上げた。 「なんか他のみんなも集まったから、一旦中層に集合だって」 うぇーい。
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