『オハヨウゴザイマス…マスター』

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『オハヨウゴザイマス…マスター』

部屋中に響き渡る変声期を終えていないボーイソプラノ。 ぷしゅぅぅぅ… 近未来を想像させるカプセル型の装置。 その内より出たるは金髪の眩しい14才の少年。元い少年型アンドロイド。 「ふおぉぉ!遂に完成を見たか… 5年と6ヶ月、4日と22時間38分15秒11! これだけの歳月をかけた意味が有ったというものだ… 見ろ!これが僕だけの"ショータロイド"乙弐型だ!」 ギギギ…ピピピピッ…ピロパロ…ボフン!プシュー… カプセルの扉がゆっくりと開かれると、少年は三歩ほど進みその足を止める。 初めて見る光に眩しがる様子もなくゆっくりとまぶたを開き、その無機質な蒼い瞳をこちらへと向けてくる。 ピピッ… 『網膜スキャナ完了。コノ人間ヲ、"マスター"ト認識。 マスター、初期設定ヲ願イマス。 ハジメニ、言語ヲ設定シマス。』 「言語は日本語でぉk。 詳しい設定はプログラミングした通りだ。コードREN…」 『コードREN…承認。 セットアップ開始。』 チーン。 電子レンジの温め終了音?はたまた飲食店のオーダーベル? そんな感じの間の抜けた音と共にセットアップが完了する。 「おはよう…マスター。 ん?随分とチンチクリンなマスターだな。身長なんてオレと大して変わらないじゃん」 ブチッ… おや?随分な挨拶じゃないか少年。 第一声からこの私のコンプレックスを真っ向から抉りおって… 「おっ前…マスターの僕に向かって随分と失礼な物言いだな!! こうなればどちらが食物連鎖の頂点か再認識させてやる!!」 僕はダボダボの白衣の袖で、バシバシと少年を叩く。 「え、ちょっ…止めてよマスター!? オ、ボクまだ名前も貰って無いのに…」 「うるさい!お前なんてウナギで十分だ!! それに"ボク"なんてかわいこぶるんじゃないよ!一人称は"オレ"だって繰り返しプログラミングしたでしょうが!!」 「痛い!痛いよマスター!!」 長めに残された後ろ髪を束ねて背中に片足を乗せ、海老反りよろしく後ろに引っ張る。 これではもはや虐待の域だ。
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