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僕は部屋に戻ると濡れた白衣を脱ぎ捨て、そのまま髪をワシャワシャ。水分を飛ばして行く。
「もう…Yシャツまでびしょびしょじゃないか!
どんだけ波々注いだんだよ、あいつは…」
第3ボタンまでをプチプチと外し、そのままTシャツの要領で頭を抜く。
一応スカートは無事の様だが、物はついでに替えてしまおう。
脇に付いたボタンを外し、ファスナーを下げ…
ガチャリ!
いきなり開け放たれる部屋のドア。
「マスター!掃除終わりましたー!!」
「ギャアァァァァァ☆※◎#@&!!!!」
よりにもよって華やいだ笑顔で突っ込んでくる少年。
とりあえず下ろしかけたファスナーを戻し、手に持ったYシャツで上半身を隠す。
「は、入るときはノックくらいしろ!この養殖ウナギ!!」
「え?何故ですか?」
…何故?何故って。
「レ、レディの部屋に入るなら当然の事だろうが…」
「そうなんですか?ショータロイドの僕には良くわかりません!」
血圧上がりまーす↑
都合の良い奴め…
「…と言うかマスター女性だったんですね!背も低いし、胸もないから年下の男の子かと思いました!!」
こいつの眼…
珍獣を見て心踊らせた子供の眼差しだ。
ブッチーン
あいにく僕の堪忍袋の緒は糸より脆い。
そんな無礼な扱いをするのならマスターとして実力行使に打って出るしかない。
ゆらり
「…確かに僕の身長は146cmさ」
ゆらり
「…どうせAカップもないまな板さ」
ゆらり
「…改札や受付を通る度に子供料金を進められるさ」
尋常ではない殺気を纏い、軽いウェーブ掛かった髪を逆立て、猫背気味に低く構える姿勢はさながら力石徹!!
「ま、待ってマスター。おちついて…」
「これが落ち着いていられるか…お前には羞恥心が欠如しているようだ。
今ここで服をひん剥いてベランダに吊してやろうか?
それともウナギの蒲焼きの様に直射日光で炙ってやろうか?」
ファイティングスタイルをとったまま、両手の指をワキワキとさせじりじりと少年へと近付いて行く。
「マ、マスター…冗談ですよね?
そんな事…冗談ですよね?」
「うるせー!こっちは伊達や酔狂でやってんじゃねーんだよぉぉぉぉぉ!!!!」
僕は少年のシャツをがっちりと掴む。
「い、いやぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
昼下がりのご近所に、少年の悲痛な叫び声がこだました。
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