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「あの女優、私のタイプの顔なのよねー。ねぇ、大和今度また撮影見学に行っても良い?」 「良いけど……。そうやってこの前も見学に来てCM取り付けてたよね?だから普通に見学するだけって言うなら良いよ」 「何よ。ケチ」 「みーちゃんは仕事出来るから良いけど、事務所通さずにいきなりとか、普通の人だったら俺も含めて信用問題に関わってくるんだからね?そうしたら俺の仕事にも影響出るの。分かってる?」 「……はい。すみません」 みーちゃんが大和に怒られているのを横目に、私は麦茶を一口飲んだ。 「あの女優さん、私も好きだなー。ねぇ、私も行っても良い?」 「しのが行くなら俺も行きたい」 「カオルくんはダメ」 「何でだよ」 大和が呆れたようにため息をつく。 1番年下のはずなのに何なんだろう、この貫禄は。 私たちが見学に行きたいと言っている現場の偉い人だからなのか、今の大和には逆らえない。 「何でって、あきらかにカオルくんは現場の邪魔になるし」 「何で?」 「自分の容姿を考えなよ。スカウトがうるさくて撮影に集中できないのが容易に想像できる」 大和の言葉にグウの音も出ないのか、カオルくんは黙ってしまった。 ほんの少し、いい気味だと思いながら私は大和を見る。 「じゃあ、友だち誘って行っても良い?3人になると思う」 「うん。しのちゃんは良いよ。スタッフにお姉ちゃんなんだって自慢できるし」 「ありがとう」 話はまとまったけど、みーちゃんとカオルくんは納得していないようである。
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