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私は部屋に戻ってからまた眠ってしまっていたらしい。
頬に触れるひんやりとした感覚に意識を取り戻し、目を開くとカオルくんがベッドの脇にすわり私の頭を撫でていた。
「……カオルくん?」
「おはよ」
「……うん。ていうか、何でいるの?」
「泊まったから」
「違うよ。何で私の部屋にいるのってこと」
私は起き上がり、目線がカオルくんに近づいた。
「起こしに?」
「一応、女の子の部屋なんですけど。勝手に入って来るのとかどうなんですか?」
「え、何でいきなり怒ってんだよ」
「起こしに来てくれてありがとう。着替えるから出て行ってください」
私はカオルくんを追い出し、もう一度ベッドに座った。
触られていた頬が熱い。
撫でられることなんていつもの事なのに、1週間ほど離れていたからかほんの少しだけ新鮮に感じて照れる。
「……私もいい加減にしなきゃな。ほんと」
着替えてリビングへ出ると、大和とママがいないようで他の人は全員いた。
「何、皆暇なの?慎太郎くんはもう帰ったのかの思ってた」
「ご覧の通り暇だからな。出来るだけゴロゴロしようと思って」
陽子さんがテーブルに朝ごはんを準備してくれ、私はそれにありがとうと言って食べ始める。
「えー、じゃあ皆予定ないんだね」
「だな」
「カオルくんとパパも?」
「ああ、何も」
「私はここ片付けたらちょっと出掛けるから。あんたたちも一日中家でゴロゴロしてないで、どっか行きなさいよ」
と陽子さんに言われパパと慎太郎くんは顔を見合わせ、困ったように笑った。
私はその後、クラちゃんから電話があり真穂と3人で遊ぶことになったのだが。
「これは……?」
「どういう事なの」
待ち合わせ場所で私を見たクラちゃんと真穂は少し引いている。
当たり前だ。
何故か、カオルくんと慎太郎くん、そしてパパまで暇だからというわけの分からない理由で私に付いてきたのだ。
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