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「なぁ、そういえば晩飯どうする?」
慎太郎くんが皆を見回しながら言う。
「あー、確かに。うち帰ってみるか?」
「陽子さん帰って来てるかもしれないもんね」
「ていうか、皆で帰って陽子さんキレない?」
「いや、さすがに大丈夫だろ……」
パパがそう言いながらも不安そうに慎太郎くんを見る。
この人数でカオルくんもいる。歩道に立ち止まってこのまま話しているわけにもいかず、何か買ってから帰ろうという話でまとまった。
「じゃ、ジャンケンして負けた奴が買い出し班な。他は田沼家に帰宅で」
「それじゃあ、ジャンケーン、ポンッ」
買い出し班になったのは慎太郎くん、福永さん、私。
他は我が家へ帰宅。
慎太郎くんがお金を出す事が決まり、そのまま近くのデパートへ。
「惣菜にする?それとも、何か作る?」
「ていうかこのメンバー新鮮だな、美乃と遊太くんと3人なんて」
「確かに。全員、他人だもんね」
「お前、言い方」
「ごめん、ごめん。で、どうする?」
正直、私も福永さんも暑いので早く帰りたいというのが本音で、何が楽しいのが慎太郎くんはボーリング場からずっとテンションが高い。
「何か作るとして、誰が作るかだよな。あと惣菜買って行って陽子さんがこんなの食べれないとか言い出した時のこと考えたらなぁ……」
「それね。レストランとかでは普通に食べるのにこういうのは気持ち悪くて食べれないとか、変わってるよね」
「鍋にするか?」
「えー、嫌だ」
鍋のだし汁の元を手に取り、慎太郎くんが私に見せてくれる。
昨日の晩ご飯は焼肉だったし、めちゃくちゃ暑い日だし、どうしても鍋という気分にはなれない。
「遊太くんは何食べたい?」
「あー、中華かな」
「私、エビチリ食べたい!!エビチリ!!」
「じゃあ、ここで買い物は止めよう。中華のシェフ呼んで作って貰った方が早いだろ。陽子さんもその方が喜ぶ」
慎太郎くんがお金持ち発言をして、確かに最近、贅沢という贅沢をしていなかったと思い慎太郎くんに乗ることにした。
私はひとまず、エビチリと酢豚が食べたかったのだ。
何も買わずに田沼家へ帰宅。
そこから慎太郎くんが知り合いの中華のシェフに電話をして来てもらえることになった。
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