6

19/19
前へ
/118ページ
次へ
結局、みーちゃんも珍しく2日続けて我が家へ帰宅することに。 「クラちゃんごめんね。こういう流れがうちでは普通なの。慣れてね」 と、我が家初体験で色々巻き込まれているクラちゃんに謝る。 真穂や福永さんはさすがに慣れたもので、目の前でシェフが中華鍋を振っていても気にしていないようだ。 「俺が今日分かったのは結局、王子はやっぱりすごいってことだけだよ……」 「食材色々持って来てもらったし、食いたいものどんどん言えよー。クラくんも遠慮すんなよ」 「あ、はい」 慎太郎くんがメニューを私たちに見せる。 一番最初にエビチリを作ってもらい、私は上機嫌だ。 「あ、真穂あんかけチャーハン食べたい!!遊太先輩、一緒に食べません?」 「良いよ。麻婆豆腐どうする?」 「あ、俺、麻婆豆腐食いたい」 カオルくんがメニューをのぞき込む。 「カオルくん、辛いの大丈夫になったの?」 「目の前で作ってもらうんだから、辛さ控えてもらうに決まってるだろ」 「ていうか、ママ遅くなるの残念だね」 「まぁ、チャーハンと酢豚だけ置いといてってメール来てたし、大丈夫だろ」 ママ以外は全員、帰宅している。 陽子さんもこういうのが好きなので、楽しそうだ。 大和はさっきから大好物の棒々鶏を嬉しそうに頬張っている。 「何か、夏休みっぽくて楽しい」 「しのが姿消さなかったら、もっと早くこういうの出来てたけどな」 「私の家出はカオルくんのせいだから、カオルくんには言われたくない」 「分かってるよ。ただ、黙っていなくなることなかっただろ?」 「昨日、ちゃんと話して解決したじゃん。ぶり返さないでよ」 何故か、ケンカになりそうになった私たちを止めたのは真穂だった。 こういう時に親友は有り難い。 カオルくんの事もよく知っているから、ちょうど良く止めてくれる。 「ねぇー、どうでも良いけどその餃子食べないなら真穂にちょうだい」 「え?あ、うん……」 「真穂ちゃん、さっき食べてた麻婆豆腐は?」 「ぺろりんちょ」 そう言って、チラッと舌を出し可愛い子ぶるがすごい食欲に私もカオルくんもいつの間にか笑ってしまっていたのだった。
/118ページ

最初のコメントを投稿しよう!

65人が本棚に入れています
本棚に追加