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「おはよ」
「おはよう。隣りで慎太郎くん寝てるから、起こさないようにね」
「帰って来たんだ」
「うん。4時間くらい前に」
小声で話しながら私たちは寝室を出る。
「みーちゃんはまた仕事?」
「うん。明日休みにするために今から行ってくる」
「着替えたりしてて。軽くご飯作るから」
「あ、大丈夫。今日、夜に会食入ってるから食べなくても」
「あんまり不健康な生活しないでね?」
純粋な心配からそう口にすれば、みーちゃんは急に笑い始める。
「何?」
「ううん。随分、心配してくれるなって」
「だってママとパパの親友だし、私も大好きなみーちゃんにはずっと元気でいて欲しいもん」
そう言えば、みーちゃんはギュッと私を抱きしめた。
ビックリしてされるがままになっていると、数秒で解放される。
「よし、仕事頑張ろうかなっ」
「みーちゃん?」
「美乃も無理しちゃダメよ。特にあの王子様のことはね」
「うん、分かってるよ」
みーちゃんは着替えるために二階に残り、私はリビングへと戻る。
カオルくんはまだ同じ場所、同じ姿勢で雑誌を読んでいた。
「すぐ起きた?」
「起きたよ。今からまた仕事行くって」
「ふーん」
カオルくんはどうやらみーちゃんより、雑誌の方が気になるらしい。
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