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「カオルくんこの前、美雪さんにあげたお酒のボトルってまだあるか分かる?」 「最近、忙しいみたいであんまり飲んでないみたいだから、まだあるよ。なんで?」 「いや、今度みんなで飲むときに持って来て欲しいんだよね」 「母さんに伝えとくよ。ゆりちゃんが返せって言ってたよって」 「返せって。まぁ、それでもいいけど」 今度、また飲み会があるみたいだ。 こういう時、食べたい物を言っておくと叶うことが多い。 私は少し考えて、母親に希望を伝える。 「私、エビフライと手羽先!!甘辛いやつがいい」 「はいはい。大和とカオルくんは?」 「僕、しのちゃんと同じのでいいよ」 「俺はね、この前テレビでしてたステーキ。陽子さんも見てたよね?あれがいい」 「はいはい。準備しとくわよ。ほんっとわがまま舌なんだから」 ステーキ、エビフライ、手羽先は準備されることが決定したようだ。 カオルくんは基本的に陽子さんにしかわがままを言わない。 私もそうだけど、必ず叶えてくれると知っているから陽子さんにしか駄々はこねない。 「大和、ゲームずっとしてるみたいだけど宿題はしたの?」 「今日はないよ」 「写真は?昨日、仕事の電話あったでしょ」 「んー、大丈夫。今回は撮る方より映る方の仕事だったから。次の日曜日にモデルの仕事入っただけ」 「そう。無理はしないでね」 「うん」 大和は写真を認められている一方で、たまにモデルの仕事もしている。 いうほど美少年というわけでもないけれど、姉から見ても将来はイケメンになるだろうなと思える。
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