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「じゃあ、行って来ます」 「気をつけろよ」 「分かってるよ」 大和は私たちに手を振りながらマンションの前で待っていた友人たちと小学校へ。 私の通う中学校とカオルくんの通う高校は同じ方向にある。 「毎日、迎えに来なくても……」 カオルくんとは幼なじみ。 けれど、家が隣りというわけではない。 彼はわざわざ毎日、私を迎えに私の家までやって来るのだ。 アメリカから帰ってきた与田一家は高級住宅地に一軒家を建てた。 そこからうちのマンションを通るルートだと高校まで遠回りになるのに。 「女の子が1人で登下校なんて認めません。来年は大和が中学に上がるからまだ安心だけど、今年一年は俺がちゃんと責任を持って……」 「過保護」 カオルくんが言い終わらないうちに、私はため息をつくようにその言葉を漏らす。 「しのになんかあったら嫌なの。なんと言われようと、俺はしののナイトでいますよ」 カオルくんは恥ずかしい言葉もバンバン言う。 外国帰りだからか、元からの性格か。 私は返事をせずに俯いた。 「カオル、美乃ちゃん。おはよう」 「あ、おはようございます」 何ともグッドタイミングで声を掛けて来たのはカオルくんの親友、 福永遊太(ふくながゆた)さん。
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