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「今日もケンカしてんの?仲良いね」 嫌味なのか、本気なのか福永さんは笑顔で私にそう言う。 「しのが聞き分けのないこというから」 「だから2つしか違わないのにそうやっていつまでも子供扱いしないでよっ!!」 「はいはい、どうどう」 「遊太、俺らを馬のようになだめるな」 福永さんは何というか、ちょっと変わった人。 フワンとしているように見えて、意外と冷静でまわりを良く観察している。 人と深く関わっていないようで、気がつけばしっかりと人の懐に入っているようなそんな人だと私は思っている。 カオルくんも同じように、どこか自分のことも第三者のように見ることのできる平和主義だから相性が良いのかもしれない。 カオルくんは全人類の味方みたいな性格で相手の良い所しか見ない。 それは究極の優しさで、尊敬する所。 けれど、カオルくんは私や福永さんだけじゃなく、誰にでもそうなのだ。 彼は誰にでも優しい。 カオルくんの博愛ぶりは目を見張るものがある。 「俺としてはちゃんとカオルが感情を表に出せる相手の美乃ちゃんといることは良いことだと思うから。もっとケンカすれば?」 「さぁ、どうぞって言われてケンカなんて出来ません」 拗ねたように私が福永さんにそう言うと、福永さんは楽しそうに笑った。
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