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けれど、ただの幼なじみだろと言われればそうだと頷くと思う。 友だちとも少し違う気がする。 ただの幼なじみ。 「ありがとうございました」 「いえいえ。じゃあ、放課後にね」 「はい」 私は苦笑いで返事をする。 最近、登下校の送り迎えは確実に福永さんを巻き込んでしまっているのだ。 どうせ暇だし良いよ、なんて言ってくれる福永さんは本当に優しい。 校門をくぐり、校庭に入ると友だちが寄って来た。 「美乃、おはよう。今日は王子じゃないんだね」 「残念。見たかったのに」 「えー、真穂は結構、遊太先輩好きだけど」 上から大野文香(おおのふみか)、白岩望(しらいわのぞみ)、平田真穂(ひらたまほ)。 みんな小学校からの友人だ。
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