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その彼女が夕飯の買い物途中、私の思いもよらない言葉を言いだした。
世の中がバレンタイン一色になるこの季節。
外は寒さで身が縮まる中でも、ピンク色で染まってるかのような空気が街に広がっている。
そんな中であっても、橙子が発した言葉は私にとっては衝撃的だといってもいいくらいのものだった。
バレンタイン=チョコレート
もしかしたら、保育園の誰かが言っていたとか?
それでチョコが欲しくなったのかなぁ・・・
ここはちゃんと正当なことを説明してあげるべきか白菜を手にしながら考えてしまった。
「・・・バレンタイン?そうだね。すきなひとにチョコあげるんだよ。
とうこもチョコがほしくなった?いいよ。どれがいい?でも、とうこチョコあんまりすきじゃないでしょ?」
バライティにとんだチョコがたくさん並ぶ今の時期だから普段はあまり好まないチョコも食べたくなったのかなぁなどと。
自分で食べたいのかなと軽い気持ちで橙子に問いかけてみると
「えー、ちがうよ。」
と、少し口を尖らせて抗議されてしまった。
あれ・・・違ったんだ・・・
だったらお友達にでもあげたいのかな?
“友チョコ”なんてのが流行ってるらしいし。
今どきの子だもんね。
「とーこも、すきなひとに、バレンタインしたいの。」
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