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男は清潔感をアピールするため、真っ白に塗装された煙突がトレードマークである焼却施設で働いていた。
よく働き、周りからの評判も悪くない男であったが、たった一つだけ問題があった。
それは、重度の喫煙家であることだ。1日にタバコを何箱も開けてしまうのはざらにある。仕事中は吸わなくとも、休憩になれば、いつでもタバコを吸っていた。
さすがに、吸いすぎだと健康診断の際、医者に注意された。
焼却施設で働く以上、肺が病にかかりやすいのは必定なのに、タバコを吸っていれば間違いなく肺炎になるとのこと。
男は健康を考え禁煙を始めた。
ただ、これは喫煙家であった男にとって、苦痛なのだ。タバコを吸いたいという気持ちと健康の為との板挟み状態に陥る。
様々な禁煙グッズを試してみるも、男は満足しない。やはり、本物を吸うという行為に比べると、どれも味気なく感じてならないのだ。
次第に男はタバコを吸いたいという欲求が抑えられなくなる。それでも、健康の為と周りの後押しもあってか、タバコを吸える機会はなかった。
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