507人が本棚に入れています
本棚に追加
不審そうにあたしを見ながら、その眼鏡の男性は場所を地図を使って丁寧に教えてくれた。
よく見ると、すごく綺麗な顔。
ぼんやりと、その顔を見ていると目が合ってしまう。
「よければ案内しましょうか?」
「えっ!いいんですか?」
「いいですよ」
そう言われ、あたしは厚かましいと思いながらも、案内をお願いする事にした。
「では、行きましょうか」
「はい!」
歩きだしたその背中を追いかけ、そっと隣に立つ。
綺麗な顔に、思わず胸が高鳴った。
「新入生ですか?」
「はい」
「部に、なにか用事ですか?」
「……はい。会いに来たんです」
そう言うと、その人は複雑そうに苦笑いをした。
その顔に、どんな意味が込められているのかはわからない。
最初のコメントを投稿しよう!