前奏

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たわいのない話しをしながら、構内に入る。 入学式だったからなのか、人が疎らに感じられる。 その時だ。 階段に差し掛かった時、前からの強い衝撃であたしは尻餅をつく。 「きゃっ」 「あっ!ごめん!大丈夫?」 サッと差し出された手。 「だ、大丈夫です」 「ごめんね」 明るいオレンジがかったくるくるした髪。 大きな目の男の子が、あたしの前に立っていた。 「怪我してない?」 「はい……」 差し出された手を取り、立ち上がらせてもらうと、後ろから出てきた手がその人の頭を叩いた。 「てっ!」 「聖、気をつけないといけませんね」 「あれ!悠……何してんの?」 どうやら、二人は知り合いのようだ。
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