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ヒタヒタさん(恐怖体験其の壱をご参照下さい)と出会ってからしばらくのことにございました。
彼(彼女?)は私の勤め先である旅館にもちょくちょく顔を出すのか、夜遅くまで先輩と残っていると調理場からヒタ……ヒタ……と足音を立てていました。
私は顔見知り(?)なのであまり気にしてはいませんでしたが、先輩(♂)が「やっぱりココ何かいる!」と怖がってしまうのでそういう時はすぐに消えるようでした。
ところが社員寮にはヒタヒタさん以外にもヒトならぬ住人がいるようで。
私は当時五階に住んでおりましたが私の友人は最上階の六階に住んでいました。
彼女の名前を仮にTとしましょう。
季節が初夏に入った頃合でしょうか。
Tは体調を崩してしばらく実家に帰省していたのですが、久しぶりに社員寮に戻ってきたので私は彼女に顔を出しに行きました。
私はTと同じ時間帯に出勤していたので、二人で時間になるまでTの部屋でテレビを観ながら雑談をしていました。
しばらくしてTが少し黙り込み、私は体調が悪いのかと思って様子を伺いました。
「ゆとり。今夜一緒に寝ても良い?」
突然泊まって欲しいと言われ、私はふと部屋の中に違和を感じたのです。
ザワザワしたような悪寒に「ああ、居るな」と直感した私は努めて気にしないように明るく「良いよ~。Tは帰ってきたばっかで寂しいんだよね」と言ってその日から毎日一緒に寝るようになりました。
怪異はTが眠った後に起こりました。
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