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見渡す限り見えるおびただしい死体の山と血の海。
これは、ある殺し合いのゲームに強制参加させられた敗者の者達だ。
その中に艶のかかった黒髪に黒眼の瞳が特徴である一人の少年がいた。
少年は、天を仰ぎこれまでのことを思い出していた。
ゲームに強制参加させられ、やっとの思いで勝利を勝ち取った。
終わったんだ。この腐りきったゲームに俺は勝利した。
少年はゲームに参加し、初めて本当の安堵感を手に入れた。
その思いで今はいっぱいだった。
それと同時に一体誰が、こんなゲームを開いたのか・・・そして、何故俺は参加させられたのか分からなかったという疑問が頭によぎった。
これはゲームに強制参加させられた頃から、ずっと考えたが何も分からずじまいだった。
考えても、考えても答えは見つからなかった。
少年は思考を中断した。
体中に怪我を負いすぎたからだ。
それは大小さまざまな傷を受け、何時倒れてもおかしくない状況。
普段なら傷を負っても気にしないで戦うことが出来た。
だが、そんな彼も限界に近かった。
少年は今にも倒れそうな状況でも、床に突き刺している剣を頼りになんとか立ち上がっていた。
そんな時に、目の前に出現した光っている陣が描かれている扉を見つけた。
「はぁはぁ・・・今度は何だ・・・何があるんだ。・・まぁ、こんな死体の山・・はぁ・がある所で死ぬよりはまし・・だな。後・・・少し・はぁ・・頑張るか」
少年は出現した扉まで、ゆっくりとふらつきながら向かって行く。
「ちっ・・目が・霞んできやがっ・・た。・・・だけど・後少しだけだ」
少年はボロボロになりながらも扉をくぐり抜くことが出来た。
この時は知らなかった。少年、雪月 白夜【ゆきづき びゃくや】は、これが終わりではなく新たな始まりであることを知らなかった―――
――――――†――――――
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