†第3章†友を大切に思い続ける王族

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正直、未だに倒れているディアスを、何とかするのが面倒だ。 はぁ、世話の焼ける奴だ。朝から、溜め息をつかせるなよ。 内心愚痴りながらも、ディアスの体を揺らした。 「おい、起きろ。寝るならベットで寝ろ」 「うぅ・・・仕事を・・・しなければ」 ディアスはおもむろに立ち上がり、書類を整理し始めたが、また倒れた。 「少しは休んだらどうだ?」 バタリ あっ、また倒れたか。そして、立ち上がった。 「・・・仕事・・・片付かない」 「それは見れば分かる。だが、時には休む必要があるだろ」 「・・・仕事・・・」 駄目だ。目が死んでいる。正気じゃない。 「はぁ、分かった。今日は俺も手伝ってやるから、少し休め」 バタリ また、倒れたのかよ。そして、立ち上がるな。 俺は再び立ち上がろうとしているディアスを阻止した。見た目、ゾンビにしか見えないぞ、これ。 「・・・仕事・・・」 このままでは、話にならないと言うか、さっきの会話はあいつの独り言だったのか? 何か微妙に会話が成立していたから、驚いた。 ・・・そんなこと、今はどうでもいいか・・・・取りあえず、頭を軽く叩けば直るか? バシッ。ッ!!こいつの頭、石頭かよ。 「・・・ん?何故ここにいるんだ、カイリ」 やっと気づいたか。 「少し休め」 「だが、仕事が終わっていない」 「今日は俺がお前の仕事を手伝ってやる」 ディアスは心底驚いたような表情をしていた。失礼な奴目。 「あのカイリが、俺の仕事を手伝うだと!?何かの前触れか?絶対、そうに決まっている。普段なら、だらけて仕事をあまりせず、人に押し付けてくるカイリがだぞ。明日は雨、否、雪か?違うな。槍でも降ってきそうだ」 なんて酷い言い草だ。俺だって、一応仕事はしているのに。 本当かって?疑うんじゃない、本当だからな!! そりゃあ、たまに面倒になったから、手伝ってくれと頼んだりすることはあるけど、ちゃんと仕事はしている。 それと、仕事が無い時ぐらい、だらけてもいいだろうが。 ・・・本当の所もあるから、強く言い返せない。
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