大悪魔(ルシファー)の紅い糸

14/127
前へ
/208ページ
次へ
一発でボールはバスケットに吸いこまれたかのように中へと入り、そのボールはまっすぐに下へと落ちた。 沈黙の中、ボールのバウンドの音が響く。 「おおおおぉおおお!!!!!」 一気に歓声が上がった。 女子は予想外に唖然として、見ていた。 予想以上にデカかったので少々驚いたが…耳が痛い。 「お前、天才だろ!?術式使ってでもあんなの難しいのに使わないでってどんだけ凄ぇんだよ!」 いや、そんな事を言ってしまったらバスケット選手はどうなるんだと言う話だ。 私が思っているよりも魔物と言うのは貧弱らしい。 このくらいのシュートでこんなにも歓声が上がるものかと少々現実を疑った。 人間の素晴らしさと言うのを伝えよう。 「人間だからよ。人間って言うのは貧弱なりに頑張ってるのよ。術式がどうとかそんなの関係ないわ。気力と努力の問題じゃないの?天才って言うのはね、他の人よりも数十倍努力したから凄いのよ。意味を理解しなさい。こんなんで歓声を上げてたんじゃ優勝なんて出来ないわよ。Sクラスとかは凄いんでしょ?私がこの中で一番凄いと言うならば、ただ凄い凄いと見ているだけでなく、動きもちゃんと見るべきじゃない?なんでも術式で解決できると思ってるなら、そこで終わりね」 どうだ、私のマシンガントークは! キッと、目を鋭くして言い放つ私に誰もは震え、実感したことだろう。 人間というか弱い生き物の生き方を。  私は落ちたボールを拾い、ドリブルを始めた。 ドンッ、ドンッ、と体育館中にドリブル音が響く。
/208ページ

最初のコメントを投稿しよう!

156人が本棚に入れています
本棚に追加