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やがて、ロッカールームの選手達が揃って立ち上がった。
監督の天智天皇が、試合前最後のミーティングをしにやって来たのだ。
選手一同を見回した監督は、全員揃っている事を確認すると話を切り出した。
「……今日の相手は手強いよ。初戦から対あの世ブラジル代表だからね」
知っていた事だが、改めて言われると体が強張る。
あの世ブラジル代表は優勝候補筆頭と目される強豪だ。
まだ自分達あの世日本とは試合をした事は無いが、当然苦戦が予想された。
「さっきスタメンが発表されたよ。一番のくせ者はMFのソクラテスだと思う」
その名前に自分達は『誰?誰?』となったが、松田氏だけは『おぉ』と感嘆の声を上げていた。
多分、そのソクラテスとやらは彼の世代では有名なのだろう。
……ジェネレーションギャップとはまさにこの事である。
「そこで、だ」
監督がホワイトボードを指し示し、フォーメーションの説明を始めた。
そしてFWを表す二つの赤いマグネットの内、一ツを動かした。
「……ツートップ、止めよう」
「え?」
「敵の猛攻に耐えるにはもう少し中盤を厚くしないと。今川君、やっぱMFやって」
「何を言ってんだ葛城テメェーーー!?」
……しまった、つい皇族をテメェ呼ばわりしてしまった。
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